子育てon Time

保育士でも母親になると、様々な事で悩みます。知らなかった事を沢山知ることが出来ます。世の中の子育てした人、している人、支援している人には頭が上がりません。そんな私が思った事をまとめていきます。

保育士であればこそ子育てに悩む

皆さんの保育士に対するイメージってどんなものですか?ただ遊んでるだけの人?偉そうに色々言ってくる人?それとも子育てのエキスパート?教育者?

保育所によって理念は違うし、保育の仕方や取り組み方も千差万別です。だから、一概に保育士とはこういう人です…とは言えませんが、少なくとも保育士は集団で子どもを見る事、客観的に子どもを見る中でその子にとって最善の方法を考えることにおいてはエキスパートであるべきだと思います。…が!!実際に自分の子どもを育てることに関しては全くエキスパートのエの字も無いのです。

①客観的と主観的
仕事でお子様達を預かる場合、どんなに可愛くても、どんなに愛情を感じても、保育士は客観的にその子の様子を観察し、家庭状況も客観的に考慮します。子どもの気持ちを汲み取る為にその子がどんな風に考えているのか、『立場になってみる』事はありますが、そこに実際の起伏ある感情が押し寄せるわけはなく、どこまでも冷静で、やはり客観的なのです。
だからこそ、適切な対応を思いついたり、冷静にカリキュラムを組むことが出来るわけです。親御さんから困っている事を相談されると、親身に一緒に考えますが、そこに飲み込まれるような怒りの感情や、底の見えない不安感はありません。親御さんがその様な感情を感じているのだろうな…と、『立場になってみる』事は出来ますが、実際にそれらの感情に飲み込まれてしまうことは無いのです。だから、「こういう方法もありますよ。」と案が思いつくのです。もちろん、たくさんの子どもと家庭を見てきた経験もありますが。。

しかし、実際に親になってみると、自分の子ども=自分という構図が出来てしまいます。誰かに子どもの事を言われたら、自分の事を言われた様な気持ちになる、子どもが泣くと自分も悲しくなる、子どもが怒ると自分もイライラしてくる…。保育士では母親ほどこの感情を強く感じる事はありません。
この押し寄せる感情に飲み込まれながら子どもを育てる事…これが一番大変なのだと思います。だからこそ、保育士だって親になると、この感情をどうしていいかわからなくなってしまうのです。

②理想と現実
保育士として経験を積んでいればいるほど、理想があります。素敵な家族、素敵な親御さん、素敵な子どもにそれだけ沢山出会えると、それだけ更に苦しみは増します。
例えば、保育士は母乳をあげる事は出来ません。だから、寝かしつけの方法やコツを身に付け、その子にあった方法をどんどん試していきます。でも、自分の子どもが寝かしつけで泣くと焦ります。イライラします。仕事では一時間以上平気で抱っこして、時間をたっぷりかけて布団にそーっと下ろすことが出来るのですが、母親として子育てをしていると、20分抱っこしていると、他にやりたいことが山ほどあるのに…と思い始めます。焦って布団に降ろしても上手く置けずにまた泣いてしまう…そしてイライラし始めます。仕事では上手く出来るのに、どうして今それが出来ないの!!と、更に自分にイライラします。母親としても、保育士としても挫折を感じます。更に上手く寝かしつけられている親御さんに出会った事があれば、尚更、私は保育士なのに、どうして出来ないのだろうか…と、自分に対する嫌悪感は増していくばかりです。

③手抜きの方法も素晴らしい家庭も知っている
保育所には共働きの家庭が沢山あります。本当に皆さんの仕事に子育てに…と日々奮闘され、素晴らしいと思います。お手本の様な朝食を食べさせている家庭、手作りの持ち物を沢山作ってあげている親御さん、いつも身綺麗にしているお母様…実際自分が子育てを始めると、朝なんて忙しくてパンと牛乳とバナナで精一杯だったり、手作りのものなんて沢山あるアイテムの中の一つくらいしか作れなかったり、自分の見かけなんて後回しで髪の毛セットする気力も無いし…。そうすると、今まで見てきた輝かしい家庭と親御さん達が頭に浮かび、どうして私にそれが出来ないのだろう…と自己嫌悪に陥ります。何が子どもにとって『最善』であるかわかっているのに、自分の『ベスト』はそこまで達しないのです。

④「保育士さんだから…」と言われる悲しさ
上記のことから、すでに自分に自己嫌悪し、子育てに対する自信はすっかり失っているにも関わらず、他の人からは「保育士さんだから、上手く出来るよね」と言われるのです。実際は上手くいっていないのに、当たり前に出来るよね…と言われると、誰にも悩みを相談出来なくなります。誰からも「気を楽に」とか、「少し手を抜いて大丈夫」とか言ってもらえないのです。